仙丈ヶ岳(3033m)                           長野・山梨
                                        2012.5.1(火)曇

天気予報はやや回復した。
3時雨 6時曇 9時晴 12時晴曇 15時曇 の予報です。
夜中に外に出ると、小さな雨が顔にあたる。
4時前に起床しトイレに行く、やや雨粒は大きいようだ。
体には昨日の疲れが残っているが、予報を信じて登ると決めた。
帰りのバス時間から逆算すると、10時には頂上から下らねばならない。
仮に途中でも、そこで引き返すことを決めた。
昨日と同じ4時半に朝食を摂り、5時20分出発です。雨は完全にあがっている。

北沢峠5:20ー3合目6:35ー大滝の頭7:20ー小仙丈ヶ岳8:44ー9:39仙丈ヶ岳10:10
ー小仙丈ヶ岳12:51ー大滝の頭11:26ー12:47北沢峠

凍った場所はアイゼンを効かす方が楽だ。
登り始めて直ぐにアイゼンを履くことにした。
2合目までは比較的傾斜が緩い。
一般ルートの小仙丈尾根と云うものの、3合目〜4合目は結構な急登だ。

樹林の間から北岳が垣間見える、右手には北アルプスも見えた。
3日目にして初の北アだ、大展望を期待する。
前線が南なので太平洋側の天気は悪いが、
この時間の北方には青空も見えていた。
大滝の頭に着いた。此処が5合目に当る。
此処までは丁度標準時間の2時間で来ている。
だが本番はこれからです。
昨冬は悪天候の為4合目過ぎで引き返したので、大滝の頭までは来ていない。
木々を吹き抜ける風の音が大きくなってきた。
樹林帯を抜ける前にヤッケを着込む。
樹林帯を抜けた。思った程風は強くない。
が、いつの間にかガス域に入り視界は遮られてきた。
その上、昨日の疲れで足は重い。
時折立ち止まり、大きな深呼吸をしながら1歩1歩を進む。
日中日が射すと腐れ雪になり、膝まで抜けて大変だったと聞いていた。
その大穴が無数に残っている。
が、今朝は問題ない。
小休止をとり、水分とエネルギーを入れる。
束の間、稜線が見えた。
あそこが小仙丈ヶ岳だろうか。
あそこまで行けば何とかなる。頑張ろう。

その後暫く頑張ったが、Ssyさんは「もう限界、ここで引き返します」と云う。
私もほぼ同じ様にきつかったので、限度の理解は出来た。
今冬の湯岳登山で、私には若い体力差に圧倒された彼女だったが、2日目となると疲労の蓄積が出た。
限界の彼女だったが、まだぶっ倒れる程じゃあない。
踏み跡トレースはしっかりとある。
休み休み、ゆっくり帰路について貰うことにした。
下って行く後ろ姿を見送った。8時25分
小仙丈ヶ岳(2855m) 8:44
Ssyさん、あと少しで此処だったよ!

大登りは過ぎて、ほぼ稜線歩きとなった。
が、疲れた私の足は相変わらず重い。

9時20分になった。
私の足に付き合わせていたら、頂上を踏めぬかも知れない。
先行者なしの山だが、昨日の踏み跡は残っている。
最大10時には引き返すということで、Okさんに先行して貰うことにした。

私は遅れながらも1歩1歩踏みしめて進む。
登りになると大きく息を吐く、一杯息を吸い込む。
体調が普通で、好天気ならどんなに楽しいリッジ歩きだろう。
9時39分
喘ぎながらも、頂上と思えたピークに着いた。未だだった。
70歳の体力、これが私の限界だ。帰路にもリッジ歩きが待っている。
本日の極限、此処を私の仙丈ヶ岳と決めた。

微かに見える眼前の頂上から「着いたよ!」と
Okさんの小高い声が聞こえる。9時43分

残りの距離は200m弱、10m下って20mの上り、10分あれば着く。
が、安全限界とはこれなのだ、と悟る。
未練な気持ち3分、達成感7分のとても爽やかな気分だった。
Okさんの写真です。
頂上9:43−9:48
頂上から戻ってくるOkさんに声をかける。 
「そこ! 足元に雷鳥がいるよ!」 9時54分
ハイマツから出て、ちょこちょこ足元まで近寄って来たその雷鳥、
何枚か写真を撮ってOkさんは帰って来ました。
9時58分
握手して感激を共にする。
此処、私の仙丈ヶ岳で記念写真を撮って貰いました。

ここで彼女は夫君に電話し登頂の報告です。
私に電話を代わると、夫君から「何処へでも付いて行き、お世話になります。
有難うございました」とのことでした。
こちらこそ有難うございました。

下山開始 10時10分
左は藪沢カール、右が仙丈カールです。
落ちるなら左が良いかなと思いながら。
疲れた体なので、どちらにもふらつかない様に歩を進める。
この頃、東から西に流れていたガスも落ち着いてくれ、風も穏やかになったのは幸運だった。

小仙丈ヶ岳を過ぎた。あとはのんびり下ります。

帰路道中、4名の登ってくる単独登山者に出会った。
昨日の甲斐駒も出だしは先頭だったが、途中で抜かれた。
が、今日は最後まで先陣を切ったことになる。

樹林に入る前に振り返ると、稜線から下は良く見えている。
北岳も同様、頂上部だけが雲に包まれている。
凡そ2500m以上に雲域があることが判る。
長衛荘に帰り着きました。
Ssyさんが迎えてくれます。下ってしまえば全々元気です。
私達の早すぎる帰着にびっくりでした。

1便早いバスに間に合うらしい。
直ぐにラーメンと缶ビールを注文、ビールをごくりと喉を通す。ウッ、痛ッ!
一気に入れた為、胃が痛い〜! 少し横になると回復したが、気を付けよう。

北沢峠13:30−15:10歌宿15:15〜バス〜15:50仙流荘・入浴17:00
〜伊那IC〜5月2日0:20山陽IC

今回の山行を振り返る。
立案から実行迄、技術面を含めて自分で実践する。これが山の醍醐味でした。
そして、山はいつまでもエキサイティングです。
歳はとっても、色んな意味で歳相応の進化をしなくてはならないと思いました。
競争社会を乗り越えて来た同年代の皆さん、まだまだこれからです。頑張りましょう。
又、山は泰然とたおやかです。心身の健康の為の登山に併せて、先輩や同僚との飲み交わしに尽きますが・・・。

仙丈ヶ岳再挑戦について
勿論、マイ仙丈ヶ岳にもう一度会いに行きたい思いはあります。
この文を書いている今、北ア白馬岳、爺ヶ岳で7人の遭難死亡が報じられている。
春山の5月と云えど山の天候変化は想像以上なのだ。無くなられた方々は同年代だ、謹んで哀悼を捧げます。合掌

今回、特別に嬉しかったことは、翌朝一番、メンバー二人からのメールです。
Ssyさんより
おはようございます。甲斐駒、仙丈 お世話になりありがとうございました。
昨日までは、しんどい方が勝っていましたが、今頃、達成感が湧いてきています。
仙丈を途中で断念した事は、少し後悔もありますが、それも私の今の力かと思います。

Okさんより
Good morning
有意義な山行を計画していただき本当に私は、感激、感謝をします。有難うございました。

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